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2023.12.21

コラム

ラムとエステルの話

BOSO Rhum Mer-海- Cuvée spéciale ESTERY2024のリリースに向けて

2024年1月後半にBOSO Rhumシリーズ第3弾となる「BOSO Rhum Mer-海- Cuvée spéciale ESTERY2024」がリリースされることとなり、オンライン限定品として先行予約を開始しました。

ラムにとってのエステル香は、あくまで製造工程で生まれる香りのひとつであって、殊更にそこばかりに執着してしまうのはラムファンのひとりとしてはあまり感心しない矜持ももちろんあるのですが、まだアンダーグラウンドラム研究会的な活動であった初期のRhum de la Péninsule de BOSOの頃から謎に包まれているエステリーラムの製造は常に議論していたテーマであり、そんなコアなラムファン向けのカテゴリーとしてや僕らの製造技術研鑽部門としてMer-海- Cuvée spécialeと言うある意味実験的なカテゴリー設けた経緯があります。

まだ天然酵母を採取して発酵を試したり、
ヘッドを飲みながらカットポイントを模索したりしていたある日、作り置いてあった変質したケーンシロップを半ば強制的に発酵させたラムにエステルを感じたのが製造を本格化させるキッカケでした。
その後は、酒のエステル生成に関する文献を読み漁り、エステル生成能の高い酵母や酸耐性の高い酵母を試したり、いわゆる「ダンダー」を何種類も製造してみたりと様々なテストを続けていましたが、なかなか思うような結果が出ない日々が続きました。

そもそも僕らが造っているもろみやダンダーの中で何が起こっているのかもわからないのに闇雲に試作を続けていても前に進まないと感じ、どこか専門的な機関に協力を依頼したいとダメ元で連絡したのが千葉大学。
産学連携の窓口の方に電話相談したものの難色濃厚な様子でしたが、そこで話を聞いてくれることになったのが、応用微生物学の専門家である天知教授でした。

オンライン相談で突然研究室からたくさんのラムボトルを出してきた天知教授は無類のラムファンで、僕らのラム造りに想像を超えた興味を示してくれました。
学生時代のレゲエバンド→ジャマイカ→ラムと、ものすごくBOSO Rhum向きのキャリアを持つ天知教授とのタッグで、エステリーラムの製造は少しずつ安定的になり、そこで生まれたスモールバッチの原酒が今回のBOSO Rhum Mer-海- Cuvée spéciale ESTERYとなります。

まだまだ生成するエステルにムラがあったり、香りが変わったりと研究途上な部分が多く、あくまでもプロトタイプ的な扱いなので、オンラインストア限定500本としました。

製法はトラディショナルとハイテストモラセスの2種で試しています。
中にはエステルが強調されすぎているものもあったので、全ての原酒をバーボン樽とマテバシイで3〜4ヶ月の短期熟成を行っており、2024年1月半ばに樽から出してバッティングと調整を行いボトリングとなります。
現在のアルコール度数は、64%程度。
加水に関してはバッティングした様子で決めます。

天知研究室とのタッグは始まったばかりで、現在行っているアグリコールの仕込みにも参加してもらい、サトウキビの房総環境活用農法含めて来春から本格的な協働を開始する予定です。

ともあれ日本初となるエステリーラム。
試作ですが面白いと感じてもらえるボトルになると思います。
ぜひお試しください。